気づけばまた3月。
毎年恒例の、第一そだち保育園/第二そだち保育園(愛知県春日井市)の、1年の保育のまとめ会にお邪魔してきました。
第一そだち保育園での議論は、1歳児の月齢大クラスについて。
1歳半を過ぎて表象の世界に入り、徐々に生活の見通しが深まっていく。
それは同時に、いろいろなことを覚えていられる、という記憶の世界に子どもが足を踏み入れたということでもあります。
自我のめばえに記憶が加わりゆく2歳台。子どもの「自分で思ったことを、やってみたい」思いは自ずと強まっていくことでしょう。それは時に、生活場面などでの行動の切り替えの難しさとして現れるかもしれません。
発達したからこそめばえる、自己主張やこだわり。
いっぽうでこの時期は表象の深まりに伴って、支えてくれる大人の自分とは異なる思いに気づく土台ができてきます。とはいえ、だからすなわちうまくふるまえる、とは限らないのがヒトらしさです。
時にはむしろ、支えてくれる大人のメッセージの正しさに気づき始めるからこそ、すぐにそれに従って切り替えにくいこともあるのでしょう。
とある保育所でのできごとです。
園庭に出て、3輪車で遊びたかった2歳半のみすずちゃん。
数の限られている3輪車は既にみんなに使われていて、大泣きしてしまいました。
保育者が丁寧に思いを聞き、声をかけてなぐさめようとしますが、遊びたかった思いはそう簡単におさまりません。
そこにふと現れた、同じクラスで3歳になったばかりのひかりちゃん。
「ミスズチャン、ダイジョウブ。ヒカリチャンガ、イッショニサガシテアゲルカラネ」と声をかけ、園舎の向こうにある倉庫に探しに行きました。
3輪車は全て園庭に出ているので、あるはずはないのですが……。
「ナイネー」「ナイネ」
見えない倉庫の前で、きっとそんな言葉を交わしていたのでしょうか。
しばらくして戻ってきた2人。みすずちゃんの顔から涙はすっかりひいて、いつもの笑顔が戻っていました。
すぐにはできなくとも、支えてくれる仲間と、切り替えるための時間が準備されることで、子どもは少し前に進んでいける。
そんな子ども同士の関係との時間を十分に保障する部分にこそ、乳児保育の専門性があるように思います。
そんなことを改めて考えさせられた、まとめ会での議論でした。先生方に感謝です!
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