月曜日, 9月 04, 2017

EECERA 2017 Conference(松本・松井)

松本・松井の両名で、8/29-9/1という日程で、ヨーロッパ乳幼児教育学会に参加し、研究発表をしてきました。
松井先生は二度目の参加、私は初めての参加になります。
会の位置付けとしては文字通りヨーロッパになりますが、ヨーロッパ各地はもちろん、アジア、中東、アフリカ、オセアニア、北中南米とまんべんなく参加者があるので、実質的には世界の保育・乳幼児教育研究の中核を担う会と言ってよいと思います。
全体では1100人の参加がありました。

会全体のテーマは 'Social justice, solidity and children's right' 社会正義、連帯と子どもの権利。
基調講演をはじめ各セッションでは、What education is for? / What is Early childhood education for? For whom? Who says so?
つまり、何のための、誰のための教育・保育か?が繰り返し問われていました。
そして、それぞれのセッションにおける、保育内容、カリキュラム、評価、実践等々の議論を貫き何度も登場していたキーワードは
Democracy 民主主義
Pedagogy in Participation 参加を基盤とする教育
Equality 平等
Companionship 協同
Respect to children 子どもの尊重
Ensuring children’s rights 子どもの権利の保障
Public communication 開かれたやりとり
Cultural and social diversity 文化と社会の多様性
social cohesiveness 社会のまとまり
などでした。

教育や保育に関する政策を私たちが受け取る際、今、目の前の社会のおかれている状況との関係を考え、議論の方向性をイメージし、それらを理解しようとすることが一般には多いのではと思います。たとえば少子化や経済状況があって、この方向性なのか、といったぐあいです。

いっぽうで長い単位を考えてみると、それが国際的な方向性と強く関係して展開することは不可避だと思います。
これからの乳幼児教育は、子どもとつくるものであり、その際は子どもはもちろん、大人も子どもをはじめとする他者とのコミュニケーションを介して陶冶されていく。
その帰結点が、民主主義ということですね。

つまり、日々の保育実践は、民主主義すなわち私たち一人ひとりにとって幸せな社会をつくるためにあるものだし、かつそういう方向でこれからの社会を担う子どもを育むことが、これからの乳幼児教育に強調されていく方向性と予測することができます。
目の前に提示されている課題に向き合う際、これから向かうであろう、大きな流れを俯瞰して実践や研究を展開していくことが、結果的に目の前の実践や研究を位置づけ、見通すことになることを、改めて実感することができました。
一人ひとりが、それぞれのやりかたでできることがあるのだと思います。

自分たちのセッションでは、
What do ECEC children learn through art appreciation in museums?
というタイトルで、少し前のものになりますが、香川県立ミュージアムや地域NPOと協同しての取り組みを発表しました。
国宝だから、誰かが言うからすばらしいではなく、自分たちが好きな作品を、自分たちの手で見つける経験ができるために。
その意味では、今回の会のテーマと重なります。

大規模な会であったことも合わせ、自分たちがこの発表を通じ、ヨーロッパ乳幼児教育学会に十分貢献できたかというと?まだまだ継続と努力が必要ですが、上記のような国際的な保育の熱い流れを、文献だけではなく改めて確認し、実感できたという意味で、こちらとしては多くの学びを得る貴重な機会となりました。
街の気温も、会での議論も、Gala Dinnerでのダンスもアツかったです!(さすが。。。)