火曜日, 7月 09, 2019

玉野高校生と(松本)

岡山県立玉野高校の学生が大学を訪れ、「児童心理学」の授業に加わってくれました。
ちょうど、内容は思春期の発達について。この内容を思春期まっただ中の当事者に話をするのはこちらも初めての経験で、どうなることやら!?と思っていましたが、いざ実践してみると、高校生のみなさんは魅力的なコメントをたくさん返してくれて、大学生にとっても、私にとっても有意義な時間となりました。

今日、高校生のみなさんと一緒に考えたのは、「『中学生だったあのころにはこだわっていた・気になっていた・夢中になっていたけれど、今ではそうでもないこと』って何だろう?」という問いを手かがりに、思春期前期の自分らしさを支えるために何ができるか?を探ること。
「俺、ぜんぜん課題やってねえ!」とあえてみんなの前で口にしたくなる中学生、合唱コンクールに対するクラスメート、中でも男女の熱意の差にいらっとしてしまう中学生、靴下をどう折るかなど、いかに学校の規則を破るかに夢中になってしまう中学生には、大人との関係、そしてその対極にある子どもの世界の中で揺れ動き、葛藤しているという共通点があるように思います。
大人や友だちとの関係の中で意識され、紡ぎ出される自分らしさから、「他者とは異なる自分」という意識を介し、これまでの自分や他のみんなと、違うけど同じ、同じだけど違う自分らしさへ。
「似ている」けれど「独自」という、一見矛盾した自分らしさを肯定的に語る力は、突然に形成されるのではなく、少なくとも発達的には、「○○ではない自分」という否定的な語りを経由して初めて現れるものだと理解できます。

発達とは希望を育むことである、とは、故・神田英雄先生が、亡くなられる直前にたびたび口にされていた言葉です。
それぞれの子どもたちが発達過程の中でおのおの巡り会うであろう、一見否定的に見える揺れ動きや葛藤の場と時間が、中学生や高校生の時期に十分に保障されることが、その後の人生を希望をもって歩んでいく力となるのではないかと感じました。

高校生のみなさん、これまでの学びを更に深め、みなさん自身の、そして私たちの社会のこれからにつなげていく機会が豊富に準備されているのが、大学という場です。
学ぶこと、その先に新たな価値を生み出すことに魅力を感じるみなさんは、ぜひ大学での学びにチャレンジしてほしいと願っています。待っています!