日曜日, 12月 30, 2012

言葉はプレゼント(松本)

 「師走」と言われるとおり走りっぱなしの12月を経て、気づけばようやく年末の休み、というみなさんも多いかもしれませんね。そんな間に取り組んでいたシゴトの一つに、3歳児の保護者向け冊子作りがありました。
  香川県教育委員会から委嘱されたもので、作成委員会の長という立場上、メインで原稿をごりごり書きながら、委員のみなさんからの原稿と合わせて、冊子全体を一つのストーリーに織り上げていくのが主な役割です。

 この種の冊子、いろいろな意味で難しいなと思います。
 よくある「マナーを守りましょう!」「がんばりましょう」的な冊子。あれを読んで「よし!守らなきゃ」「がんばるぞ!」というヒトが、どれくらいいるのでしょうか。(配布されたとして、そもそも手に取るのかどうか……)

 ポイントは、その言葉を誰に届けるのかが想像できているか、ではないでしょうか。
 よく街中に掲げられている「あいさつ運動」のノボリは、誰に届けるために立てられているのか? 冊子もおそらく同じで、そこで伝えたい言葉は、誰に届けたいと思って書かれたものなのか。それによって表現も、そして届け方も、変わっていくものでしょう。

 言葉はプレゼント。
 大切なプレゼントだからこそ、自分の贈りたいモノを押しつけるのではなく、相手に喜んで受け取ってもらえるタイミングと方法で。
 正直、この種の冊子に懐疑的だからこそ、できる何かがあるかもしれない、と思って引き受けた今回のチャレンジ。素敵なプレゼントが、気持ちよく届くよう、委員や事務局のみなさんと一緒にできる限りの努力をしているつもりですが、それが実るかは、贈り物が完成し、届いた後の評価に委ねるしかないな、と思っています。

 冊子は2月〜3月に完成予定です。完成したら、また報告しますね。

月曜日, 12月 24, 2012

気づきと時間(松本)

 研究上のインスピレーションを得た話です。
 仕事ではなくプライベートで、家族そして大切な友人たちと、直島『家プロジェクト』を観に出かけてきました。
 なかでも印象深かったのは、南寺(James Turrell作)です。

 通されるのは、すぐ隣の人さえ手で触れねばわからないほどの闇の中。
 指示されたとおりに黙って座り、ただひたすらじっと前を見つめていると、闇の中に徐々に光が浮かび上がってきます。
 その間、5〜10分ほど(だそうです)。

 でも、実はその光は、部屋に入ったときからほのかに照らされていたものであった、とのこと。
 気づかなかったのは、こちらの眼が慣れていなかったからで、時間をかけて暗闇に視線が適応していくと、徐々にそれに気づけるようになっていったという仕掛けのようでした。
 人間とは、よくできたものですね。

 はじめから変わらず目の前にあったはずのそれに、全く気づけなかったり。
 すぐには全く見えないけれど、一定の時間を経た後に必ず、見えてくるものがあったり。

 作品という媒体を通じて、モノの見え方とヒトのありようが結びつく実感が、とても刺激的でした。

 ちなみに2歳/4歳/6歳の子たちも、それぞれのスタンスで、暗闇の世界そして作品を静かに味わっていましたよ。誰もに拓かれた体験を、みなさんもよければぜひ!

水曜日, 12月 19, 2012

たかまつ地域のみんなで子育て新聞vol.6が発行されました(常田)

今年も残すところわずかになってまいりました。
街の中はすっかりクリスマス&年末ムード一色ですが、今年中にあれこれの仕事を終わらせなくちゃ〜と焦っている方々も多いのでは。

そんな慌ただしい中ですが、先日「たかまつ地域のみんなで子育て新聞vol.6」が発行されました。もうお手元に届いている方もいらっしゃいますね。
新聞でも年末年始に関連した記事がたくさん載っていますよ。

香川県を代表するあん餅雑煮。
実はまだ食べたことないんです。
今年こそ挑戦したいな!と思っています。












「たかまつ地域のみんなで子育て新聞」は、高松市内の保育所、幼稚園、小学校、中学校で配布される他、お近くのコミュニティセンターでも手に入れることができます。
みなさんぜひご覧になってくださいね。

木曜日, 12月 13, 2012

先の予想を上回ることこそ、保育の魅力(松本・松井)

 冬らしく風の冷たい毎日が続きますね。
 さて、11月の終わりから12月の頭にかけて、松本・松井の連名で、次の論文をまとめました。

・松本博雄・松井剛太 2013 保育における子どもの「学び」を記述するために―「第一の学び」と「第二の学び」に着目して― 香川大学教育学部研究報告第1部, 139, 印刷中

 小学校以降と異なる、保育ならではの「学び」の捕捉と記述の方法、その成立を担保するために必要な条件の検討を目的としました。国際機関であるOECDによる国際比較調査によれば、ECEC(Early Childhood Education and Care: つまり保育)における「学び」の示し方の方向性は、いわゆる教科教育型の指標から保育を通じて学んだことを捉えようとする「就学準備」型と、そうではなく、幼児期を広い意味での人生の準備段階と捉え、そこで学ぶことを捉えようとする「ソーシャルペタゴジ―」型の2つに分けることができます。
 ここで、保育ならではの「学び」を捉える可能性をもつのは後者です。それを具体的に位置づけるためには、事前に予想・計画された「第一の学び」に加え、事前の予想を超える子どもの姿である「第二の学び」の記述がポイントになっていくことを、2つの事例を引用しながら示しました。
 個人的には、『現代と保育』(ひとなる書房)83号に掲載させていただいた連載『保育を通じて子ども達は何を「学ぶ」か』の延長戦のような感じでまとめたつもりです。
 ちなみに事例は、『現代と保育』同号に掲載の、熊本・やまなみこども園のものと、香川県三豊市立下高瀬幼稚園のものを掲載させていただいています。(拙稿はともかく)どちらも大変魅力的な保育実践例で、保育の魅力と面白さが伝わると思います。

 3月には刊行される予定です。学術論文ということで、大学図書館経由では手に入ると思いますが、一般には手に入りにくいと思います。
 興味をもっていただける方がおりましたら、松本・松井宛メール、コメント等で連絡いただければ、刊行後にお送りいたします。

日曜日, 12月 02, 2012

第44回全国保育団体合同研究集会報告集が出ました(松本)

 12月になりましたね。早いですね。
 少し前になりますが、この夏に兵庫県で開催された、第44回全国保育団体合同研究集会の報告集が、雑誌『ちいさいなかま』(ちいさいなかま社)の増刊号として出ています。
 内容はここです(クリックすると開きます)

 
 1ページの短い記事ですが、松本は1歳児の保育A分科会のまとめを執筆しました。
 11/22の当ブログ『一歳児の「自分で思って、自分で決める」をどう育むか』にあります、山形・とちの実保育園1歳児クラスの素敵な保育実践と出会えたのは、この分科会です。
 雑誌『ちいさいなかま』は私も定期購読していますが、単なる「保育のスキル」ではなく、いろいろな立場の方からの短めの投稿や記事でまとめられているので、読みやすいです。保護者や、職場の同僚と楽しくやっていく上でのヒントにもなりますよ!
 私は特に、精神科医の和田浩さんの連載が好きで、よく目を通しています。

 このブログは、私たちの行った仕事の報告が主ですが、こんな感じで私たちおすすめの本や雑誌も、少しずつ紹介していければと思っています。

木曜日, 11月 29, 2012

中学生と乳児のふれあい体験事業(3)(常田)


2012年11月29日に第3回目の「ふれあい授業」がありました。

前回から2ヶ月たった今回は、2ヶ月間の赤ちゃんの成長を感じるとともに、「子育て」という点に焦点を当てた授業を行いました。

この2ヶ月の間に、赤ちゃんは、首が据わっていなかった子が首が据わって抱っこしやすくなっていたり、動けなかった子がハイハイで移動できるようになっていたり、歩けるようになっていたり…本当に大きく成長していました。

そして、中学生たちも赤ちゃんに会える日を本当に楽しみに待っていてくれたようです。


驚いたのは、中学生たちが、赤ちゃんと遊ぶのがすっかり上手になっていたこと!
リラックスして赤ちゃんに関わるので、前回は大泣きだった赤ちゃんも今回はニコニコでした。たった1回の経験がここまで大きな意味を持つのだなぁと、正直、衝撃を受けてしまったほどです。「養育性形成不全」などと言われる昨今ですが、実は足りなかったのは「経験」だけなのかもしれません。

一方で、このような影響力の大きさは、小学生よりはいろいろなことを深く考えることができ、また高校生よりは社会経験も少なく、その分、素直に感じることのできる中学生という時期だからこそだったとも考えられます。


これからの時代に、虐待などの痛ましい事件や育児不安・育児困難などを無くしていくためには、誰もが親になる前に赤ちゃんとふれあう体験ができるよう、社会の中でそういった場を意識的に準備していく必要があるのかもしれません。



水曜日, 11月 28, 2012

「さぬきこどもの国NEWS!」の連載がスタートしました(常田)

2ヶ月に1回偶数月に発行される「さぬきこどもの国News!」で常田の連載がスタートしました。
3回連続で学童期の子どもの発達と子育てについて書きます。

「さぬきこどもの国News!」は、さぬきこどもの国に行くと手に入るのはもちろん、香川県内の児童館・福祉関係機関、保育園・幼稚園・小学校、教育関係機関等々で配布されています。
また、さぬき子どもの国ホームページからもpdfをダウンロードすることができます。

最新号 2012年12・1月号(Vol.34)

ご興味のある方、ぜひご覧いただければ幸いです。

10月27日「こぶしの集い」で講演してきました(常田)

2012年10月27日こぶし今里保育園の「こぶしの集い」で講演をしてきました(講演当日からずいぶん時間が経ってからの投稿になってしまいました…)。

「こぶしの集い」は今年で第41回の開催。長年続けられてきた、保護者会と保育園の共催行事です。今回は、実行委員さんからのご意見をもとに、「子どもたちに豊かな乳幼児期を:ゆるぎたるぎの子育て実践」と題して、乳幼児期の発達の特徴と乳幼児期の子どもにとって親とはどんな存在なのかといったことを中心にお話させていただきました。

事前にいただいていた保護者の方からの質問には
・イヤイヤの期間はいつからいつまで?
・子どもが嫌がることをさせなければいけないときに、どんな良い方法がある?
・好奇心の芽をつぶさない声かけとは?
・つい子どもに「早くしなさい!」と言ってしまうが、「早く」と言わずに子どもたちに気持ちよく動いてもらうにはどうすればよい?
といったものがありました。

このように質問をまとめていただくと、乳幼児期の子育ての悩みってこういうことなんだと改めて客観視することができ、勉強になりました。

当日は、働きながら子育てもがんばる”同士”として、エールを送るつもりでお話をさせていただきました。楽しい機会を与えてくださいました、こぶし今里保育園園長の増田先生ありがとうございました。

木曜日, 11月 22, 2012

一歳児の「自分で思って、自分で決める」をどう育むか(松本)

 連載「実践研究」を書いている、「現代と保育」(ひとなる書房)の最新号:84号が刊行されました。
 この記事の表題にある“一歳児の「自分で思って、自分で決める」をどう育むか”のタイトルで、山形市・とちの実保育園1歳児クラスの保育実践を紹介させていただき、松本がコメントを書いています。
 見通しがめばえる1歳児。「生活主体としての自立」が気になる時期ですが、そもそもそれは何を目指してのものなのか。「大人の思うレールに乗せる」のではなく、子どもに前向きな葛藤を育むためには、具体的に何が必要なのかについて論じました。


この連載では、松本が「全国に紹介したい!」と感じた保育実践を取り上げているのですが、いずれも若手保育者による、みずみずしさ溢れるものです。
 今回登場いただいたのは、保育者4年目にして1歳児を初担当された横山史織さんです。
 読むと温かな気持ちになれる保育実践記録を、ぜひ手にとってお読みいただけると嬉ししいです!

 また、今号(84号)には、社会学者・仁平典宏さんと塩崎美穂さんによる対談“私たちが考える「すべての子ども」のための保育制度”が掲載されているなど、なかなか読み応えがあります。
 「その言葉を、誰に届けたいのか?」
 専門も視点も異なりますが、同世代ゆえか仁平さんの指摘には、随所に頷ける部分がありました。
 子どもと保育、それを支える保育者のこと、そしてそれらみなの土台にある社会のことを、これからも丁寧に考え、発信していきたいと思います。

木曜日, 11月 08, 2012

ベイトソン『精神の生態学』を読んでいます(松本・松井・常田)

 7月から月1回のペースで、松本・松井・常田と、教育学部で同僚の先生3名、ちょっとしたゆかりがあり、香川によく来られる研究者仲間の先生、大学院生と8名で、G・ベイトソンの『精神の生態学』(新思索社)という本を読んで討論する時間をつくっています。
 翻訳書で全669ページという分量なので、それなりに時間がかかりますが、中身は年代順に配置されているので、ベイトソンの思考の軌跡を追っていくかたちで読み解ける面白さがあります。ようやく中盤の、統合失調症を生じさせる循環関係の分析のところにさしかかってきました。

 このリンク先(松岡正剛さんの千夜千冊)にあるように、ベイトソンの論考は特定の学問領域に収まらないほど多岐にわたるわけですが、私なりに特に参考になるのは、問題の設定の仕方をはじめとする、考え始める出発点の部分です。
 たとえば、繰り返し学習における、1回目と2回目は同じとみなしてよいのか。
 同じように見える働きかけであっても、それを受け取る側にとっては、2回目には必ず、1回に“学んだ”傾向を背負ったうえで、新たな学習へと向き合うことになる。同じように見えるインプットであっても、やりやすくなったり、はたまた嫌になったり(なれたり)する。つまりここからは、プロセスを経ると、ヒトの学習は必ず複数の階層で展開するものであることが見えてきます。
 同じように見える働きかけであっても、なぜ「好きな先生」からのメッセージは心に響くのか。「教えたとおり」ではなく、教えた以上のことを学べるような環境設定をするためには何が必要か。保育や教育を考えるうえで、ありふれているけれど、そうはっきりとは解明されていない問題を考えるうえで、本書をベースにした議論を重ねることは、何らかのヒントになるのではないかと感じています。

 大学院生のときにも一度読んだのですが、今回は理論物理学など、専門領域が異なる方や、同じ心理学の専門家でも新しいメンバーで読んでいることもあり、新鮮な気分で臨んでいます。
 想田和弘さんのブログにあったように、やっぱり古典は「栄養分をたくさん含んだ土壌」だなあと実感します。
 すぐに花を咲かせることを求められることが多い昨今であり、大学人も例外ではなく、つい、日々の慌ただしさに飲み込まれてしまいそうにもなりますが(教育はじめ社会科学は特に?!)、「専門」の狭い領域に閉じることなく、「ヒトの社会」の問題を時間をかけて、大切な仲間とともに丁寧に考えることを大切にしていきたいと思う今日この頃です。

木曜日, 10月 25, 2012

HOTチャンネル・かがわに出演します(松本)

 ふとした仕事上の縁で、テレビ番組でコメントをすることになりました。
 既に収録は終わっており、明日放送されるとのことです。
 ちょっと恥ずかしいですが、放送されるならばせっかくですので多くの方に見ていただきたく、お知らせします。

 HOTチャンネル・かがわ 第3回「みんなで考え、育てよう!香川の健やかな子どもたち」
 RNC西日本放送にて、16:45-17:00

 全体のテーマは、子どもたちの問題行動や虐待の防止について。
 松本は、子どもの発達や子育てについて、コメントで少し出演します。

 大学の教員が出演するテレビ番組は、こちらが話した意図とは異なる部分が「チョッキン」されて、いわば勝手に編集されてしまうというイメージがあり、これまでは正直、あまりよい印象を持っていなかったのですが、今回、西日本放送や編集担当の会社のみなさんには、そのあたりを非常に丁寧にやっていただき、番組作りのイメージが変わりました。感謝です。

 香川ローカル放送ですが、放送後は以下のwebページ(香川県広聴広報課 県政テレビ番組のページ)にupされ、しばらく見られるそうです。

http://www.pref.kagawa.lg.jp/kocho/koho_tv/20121026.shtml
 いつぞやとあまり変わらない松本研究室が映っているので、卒業生のみんな、よければ時間あるときにでも見てやってくださいな。

火曜日, 10月 23, 2012

とことん付き合ってこそ、見えてくる子どもの姿がある(松本)

 10月上旬のことになりますが、香川県の幼児教育支援員派遣事業の一環として、さぬき市立寒川幼稚園に出かけました。
 午前中に保育を見せていただき、午後にそれぞれのクラスから出された事例の検討、そしてこの日の保育について話し合いをします。先生方のお話を伺いつつ、助言者という役回りで、あれやこれやコメントを挟んでいくのが私の役割です。

 寒川幼稚園の本年の園内研究テーマは、「幼児が自ら環境にかかわり遊びこむための環境構成の在り方について考える」というもの。
 特別なものではなく、ある面からみればありふれたテーマかもしれません。

 しかしながら、「子どもが自ら遊びこむ」ことを実践において具体的に保障することは、そう簡単ではないでしょう。
 乳幼児にとって、「遊び」の反対は「生活」「仕事」「勉強」ではなく「退屈」。
 大人が子どもを「(望ましいやり方で)遊ばせる」のではなく、かつ「自然にみまもる」だけでは気づけないであろう、新たな可能性を遊びのなかで膨らませる援助を成り立たせるには、いくつかのポイントがあるはずです。
 「ありふれたテーマ」だからこそ、追求する価値がある、といえるように思います。

 今回の話し合いを通じて見えてきたポイントの一つは、大人がさっと結論を与えることばをかけるのではなく、子どもに“葛藤”できる間を保障すること。
 相手の正しさがわかるからこそ、すぐにそのとおりにはできないのが“ヒトらしさ”でしょう。

 大人は、つい先回りして子どもに声をかけたくなるものです。“とことん付き合う”のは理想的ではあるけれども、それを実践するには、子どもへの信頼と、勇気が求められます。
  そんなとき、それぞれの先生の「勇気」の背中を押せる鍵となるのは、信頼し、高め合える職員集団の存在かもしれません。
 チームとしての力は、個々の先生の力量、キャリアの多寡の関数としては決まらない。
 互いの良さを認め合い、高め合える職員集団と、それを支える場として、それぞれの先生が主体的に自らの実践と、そのときの思いを語れる場が設けられることが大きいのだということを、改めて学ぶことができました。

 話し合いを終えて、『子どもとつくる0歳児保育』(ひとなる書房)を第一そだち保育園の先生方とともにつくったときの、心地よい感覚がよみがえってきました。
 寒川幼稚園の子ども達、そして先生方のこれからがとても楽しみです!

金曜日, 10月 12, 2012

丸亀市立城辰小学校でお話してきました(常田)

どこの地域でも入学時検診が行われる時期になってきましたね。
今日は丸亀市立城辰小学校の入学時検診・子育て学習会でお話をしてきました。
 小学校に上がると、子どもの行動が保護者から見えにくくなる分、心配も大きくなります。校長先生のお話では、最近の保護者は、心配のあまり子どもの全てを管理しようとするか、逆に完全放任するか両極端になりがちだとのこと。子どもを危険な目に遭わせないようにすることはもちろん大事ですが、自分で行動してみないと何が危険かもわからないというのも事実です。
 子どもの力を信じて外に送り出してやる、そして子どもの様子をよく見ていて必要なときにだけ手助けする、こういうバランス感覚が保護者には必要なのかもしれません。

金曜日, 10月 05, 2012

たかまつ地域のみんなで子育て新聞vol.5が発行されました(常田)

たかまつ地域のみんなで子育て新聞vol.5が発行されました。
本日、各学校・幼稚園・保育所へ配布されましたので、近日中にみなさまのお手元に届くかと思います。

今回取り上げたテーマは「芸術の秋」「食欲の秋」そして「祭り」です。
幼い頃、周りにあるもの全てが当たり前のことだと思っていたけれど、大人になると、それは、地域の人がみんなで手を取り合ってコツコツ作り上げていたものなのだということに気づきます。

この新聞では、さまざまな地域の方に取材をさせていただくのですが、どの方も「自分たちの住んでいるまちを良くしたい」と本当に熱い思いをもって活動されていることに感動します。こういう地域の人たちに守られて子どもたちは大きくなっていくのですね。

熱い思いを持って地域作りに励んでいらっしゃる方々を少しでも応援できたらと思って、毎回記事を書いています。どうぞみなさん手に取って読んでみてくださいね。
きっと我が街・高松のいいところがたくさん見つかるはずです!

火曜日, 10月 02, 2012

幼保連携に関するシンポジウムが開催されます(松井・松本)

 今週末に、香川大学教育学部主催で、幼稚園・保育所の連携に関するシンポジウムが次のとおり開催されます。事前申込不要で、ご関心のある方はどなたでも参加できます。

『幼保一体化に向けて、幼稚園教諭・保育士に求められることとは?
~幼保研修の成果と課題から~』
日時: 10月7日(日) 13:00-15:30
場所: 香川県社会福祉総合センター 1F コミュニティホール

 詳細はここをクリックしてください(pdfファイルにて、パンフレットが開きます)

 簡単なようで難しい“連携”。うまくわかり合えているケースもあれば、書類上の“連携”になっているケースまで、実際にはさまざまではないでしょうか。
 今回のメインとして報告される香川県三豊市のケースは、合同での「研修」を軸に両者の実質的な連携を年々深めている好例として、たいへん興味深いものです。
 松井・松本・常田も研修担当として参加し、その歩みを実感しています。
 よろしければ 、ぜひご参加ください!

月曜日, 9月 24, 2012

中学生と乳児のふれあい体験事業(2)(常田)

2012年9月21日に第2回目の「ふれあい授業」がありました。四国新聞にも様子が載っていましたね。

 今回は実際に赤ちゃんとお母さんたちに来てもらって、中学生が赤ちゃんを抱っこしたりあやしたりといった、ふれあい体験をしました。
 まだ首も据わっていない2ヶ月の赤ちゃんを抱っこして思わず「うわぁ…」とため息をもらしていた中学生たち。安心しきって自分に全身をゆだねてくれる赤ちゃんの存在に感動していました。でも、ちょっと月齢の高い赤ちゃんは、慣れない環境・慣れない人に緊張! 大泣きしてしまって、中学生たちも困り顔でした。育児の大変さも感じてもらえたかな、と思います。

思春期の多感な時期に「人とのつながり」を実感できる体験は貴重ですよね。実際に授業に参加した中学生の反応を見ていると、こうした体験の大切さがよくわかります。

次は、自分たちの生い立ちも振り返ってみて、さらに「子育て」について考えてみる予定です。次回も楽しみです。

木曜日, 9月 20, 2012

中学生と乳児のふれあい体験事業(常田)

 昨日、高松市が行っている「中学生と乳児のふれあい体験事業」の関係で、高松市内の中学校へおじゃまして授業をさせていただきました。
 中学生に向けて授業をするのは初めての体験…ちょっと緊張しました。でも、皆さんとても熱心に話を聞いてくれて、簡単な実習にも積極的に参加してくれました (^^)。
 この事業(授業)では、中学生の皆さんに、赤ちゃんのこと・子育てのことに少しでも興味を持ってもらうとともに、自分たちも今まで大切に育てられてきたのだということに気づいてもらえたらと思っています。
 次の時間では実際に赤ちゃんとお母さんに来てもらって一緒に遊ぶ体験をしてもらう予定です。次回が楽しみです。

火曜日, 9月 18, 2012

専門職としての保育職への理解を拡げ、乳幼児の豊かな育ちを支える(松本)


少し前ですが、教育学部の後援会報に、松本自身の研究紹介として小文を書きました。
みなさんとシェアできれば嬉しく思い、以下に掲載します。
しばらく、時間をかけて考えていきたいと思っているテーマです。
_______

 「保育」や「保育職」という言葉を目にしたとき、どのようなことが思い浮かべられるでしょうか。幼稚園は「幼児教育」、保育所は「保育」とイメージされる方もいるかもしれません。しかしながら学校教育法には幼稚園の目的として「幼児を保育し……」ということが明確に規定されています。「保育」は保育所での営みを指す言葉としてはもちろん、幼稚園での営みを指す言葉としても大切に用いられてきたという歴史的経緯があります。つまり、「保育」とは幼稚園・保育所を問わず、広く乳幼児の発達と生活を支える営みとして、また保育職とは、幼稚園教諭・保育士をはじめとする、「保育」を通じて乳幼児と、それを取り巻く家族を支える専門職を指すと考えるのが適切な見方でしょう。
 ところで、この「専門職としての保育職」の営みは、一般的にはわかりにくい面があるかもしれません。「教科書」に代表される、系統的教授のためのカリキュラムが明確に定められ、授業前にねらいが明示され、その達成が個々の教科別にテストを通じ子ども毎に測定される義務教育以降のシステムに対し、幼稚園や保育所におけるそれは一見わかりにくいものです。ときにその実践は「ただ子どもたちと遊んでいる」ように見えることもあるでしょう。
 しかし実際には、専門職としての保育者は「遊びを通じての学び」を念頭に、いわば“考えて”子ども達と遊んでいます。たとえば1歳半ころを境に盛んになる、話し言葉の獲得に対する援助を考えてみましょう。それは、言葉そのものを大人から教えられて達成されるのではありません。言葉はないが伝えようとする「気持ちのやり取り」の枠組みの出現が先行し、それに具体的な言葉が追いついていく形で獲得されていきます。いわば私たち大人が、言葉の通じない国を訪れた際に、まずは「何とか言葉を伝えようとする」ことから始まるプロセスを再現するかのようにです。
 ここから示唆されるのは、話し言葉の豊かな獲得を支えるために必要なのは、言葉そのものを一生懸命大人が子どもに教示することではなく、まずは子どもが大人と「思わずやりとりしたくなる」場面をいかにつくり出すかがポイントになるということでしょう。素敵なオモチャよりも、大人が使っているペンや携帯電話に夢中になるように、この時期の子どもにとって「大人の姿」は何より心を惹かれる存在です。よって、子どもの目の前で大人が楽しそうな姿を見せたり、子どもの遊びに共感したりすることが、この時期の子どもの“学び”を前進させ、話し言葉を豊かに獲得するための土台となっていきます。
 目の前の子どもの「今」の姿から出発し、発達その他の手がかりを用いながら「次」を見出し、子どもが夢中になれる世界を提供することで「もっとやってみたい!」という一歩先の学びへと結びつけていく……乳幼児期ならではの豊かな学びの世界を保障し、それを少し前に進めるための発達心理学的な手がかりと、それを用いて専門的営みとしての保育および保育者のあり方を探ることが私の研究スタンスです。

木曜日, 9月 13, 2012

心理学は「答え」を提供するのか?(松本)

 少し前ですが、悩みながらとある論文を書いていました。
 特集号に与えられたお題は「実践に『役立つ』心理学の専門性」という、少しやっかいなものです。

 「現場での問題解決」に役立つ研究には限界がある、というのは、心理学に関係なくよく言われます。それは、どんな研究でもそうですが、研究は何らかの社会背景、利害関係という文脈を背負って成り立つものだからです。「より強力な兵器を開発するための研究」 と戦争とを切り離すことができない、などが、わかりやすい例でしょうか。
 もっと身近な、心理学に近い例、たとえば「『小1プロブレム』を解決するための研究」の例で考えてみます。これは一見「役に立つ」ようにも思えます。
 ですが、この研究からは「そもそも『小1プロブレム』という視点から1年生の姿を記述すること自体が、1年生のある側面(例:かわいらしい姿)を見えなくさせているのではないか?」と問うことができません。その問題の成り立つ基盤を問えない点が、問題解決研究の限界、というわけです。

 では、「現場での問題解決」でなければ、心理学に何ができるのか。
 次に考えられるのは「問い直し」ということかもしれません。
 先の例を再び引けば、「『小1プロブレム』とよく耳にするが、それは本当に増加しているのか:それは“そう見ようとする”側の信念に過ぎないのでは?」という感じでしょうか。
 データという裏付けをもって、実践現場にこういった“正しい”問い直しをしていくことは、学問の大切な役割の一つにちがいありません。

 ただし、このときに一つ、気になることがあります。
 それは、 「正しい指摘」がヒトに力を与えるのかどうか、ということです。

 正しく指摘されることで、ああそうか、と間違いに気づき、自分のモノの見方を昨日までと変えていける。そういう方ももちろんいると思いますし、それ自体は大切なことでしょう。
 とはいえ、正しすぎる指摘に、へこんだり、反発したりするのも、またヒトらしさかもしれません。相手の指摘の正しさをうすうす感じているからこそ、葛藤したり、素直になれないこともあるかなと思うのです。恥ずかしながら、自らの生活を省みても、そういうこともあるかな、と。

 「実践に『役立つ』心理学の専門性」というお題を考えてきたのでした。
 このとき、実践の現場で日々の営みを担うのは、心理学者ではなく、現場にいる一人ひとりの先生方です。
 そう考えると、心理学の役割は、学術的なバックグラウンドから“正しさ”をただ単に供給することではなく、そこでの問い直しを、実践の現場で日々奮闘している方々の「もっとやってみたい/工夫してみたい」という気持ちの背中を押すこととを結びつけられているかがポイントではないかと思います。

 「問題解決」型と「問い直し」型は、その水準は異なりますが、“答え”を実践現場に供給しているという点において共通していると感じます。
 “答え”ではなく、希望をもってもっと考えたくなる/もっと子どもの面白い姿を見たくなるような、「良質の問い」を提起すること、そのための裏付けとなる研究を進めることが、「実践に『役立つ』心理学の専門性」ではないかと考えています。(心理学に限らず、学問一般に言えることかもしれません)

……という内容を書いたものが、以下の論文です。
雑誌「心理科学」に掲載され、12月に刊行の予定です。
学術論文ですが、 ご関心があれば、お読みいただけると嬉しいです。



松本博雄 2012 実践に「役立つ」心理学の専門性とは? ―「答え」を超え「良質の問い」の創造へ  心理科学, 33(2), 印刷中.

木曜日, 9月 06, 2012

全国保育合研:1歳児保育分科会報告(松本)

 8月に開催された、第44回全国保育団体合同研究集会@兵庫の1歳児保育A分科会で世話人を務めた関係で、分科会のまとめを執筆しました。
 魅力的な実践報告のおかげで、充実した会になりました。雰囲気が少しでも伝わればと思い、以下に掲載します。
 報告集は、雑誌「ちいさいなかま」の臨時増刊号として、12月に刊行される予定です。

 来年は神奈川だそうです。(実は、私のふるさとでもあります。)
 保育に携わるみなさん、一緒に足を運んで、元気と前向きな気持ちをシェアしに行きましょう~!
 保育者も、保護者も、たくさんの方が参加している会です(今年は確か、述べ1万人超!)。


たかまつ地域のみんなで子育て新聞4号の記事を書いています(常田)

10月初旬発行予定の「たかまつ地域のみんなで子育て新聞第4号」の記事をただいま作成中です。
今回は取材記事がたくさん掲載されるので、読み応えがありますよ。
みなさんのお住まいの地域の記事はあるでしょうか? お楽しみに。

取材に行くと、その地域の「人柄」がよくわかります。
国道32号線の南北で気質が分かれているといううわさも?!

グローバル化社会と言われていますが、実際には人と人のつながりが現実を変えていくのだなという気がしています。

皆さんのお手元に新聞を届けられるよう、もうひとがんばりです!

月曜日, 9月 03, 2012

“見方を変えれば、子どもはもっとおもしろい!”(松本・常田)

 松本&常田と、川田学さん(北海道大学)、赤木和重さん(神戸大学)の4名で、この8月に、0歳から3歳の発達と保育、子育てを結ぶことを目指した本を出版しました。

松本博雄・常田美穂・川田学・赤木和重
0123発達と保育―年齢から読み解く子どもの世界
ミネルヴァ書房


 執筆者4名に加え、主な編集を担当いただいたミネルヴァ書房・西吉さんも、乳幼児子育てまっただ中の30代。コラムを書いていただいた保育者も、その他編集やブックデザインでお世話になったみなさんも揃って20~30代というメンバーで、「今」と「これから」への思いを込めて作りました。
 この記事のタイトル“見方を変えれば、子どもはもっとおもしろい!”は、本の帯に書いていただいたキャッチコピーです。
 さまざまな不安が語られることが多く、他者を過剰に攻撃し、おとしめるような言説も跋扈している時代ですが、それでも明日はやってくる。後ろを向いて過ごしても、前を向いて過ごしても、ヒトひとりの人生に許される時間は、そう大きく変わるわけではありません。
 「正しさ!」よりも「おもしろさ!」
 今日そして明日の保育や子育て、そして人生の“オヤツ”としての発達心理学を味わい、楽しんでいただければ幸いです。

 本書に素敵なエピソードそして写真をたくさん寄せていただいた保育者のみなさん、保護者のみなさんに、この場をお借りし改めて感謝いたします。ありがとうございます。

 読後の感想がございましたら、当Blogやメール等でお寄せいただけると嬉しいです。
 よろしくお願いいたします。