金曜日, 12月 25, 2015

アメリカ留学の報告2


こんにちは。松本ゼミ3年の森山です!
今年8月からアメリカのコロラド州立大学に交換留学させていただいています。
この場をお借りして、今まで私が感じたことを少し報告させていただきたいと思います。

早くも12月も終わり、冬休みになりました。今年のコロラドの冬は暖かいそうですが、雪が吹雪くと20cmほど積もり、なかなか溶けません。
では今回は実習先のEarly Childhood Center(保育所)での活動について書かせていただきます。

実習先の保育所の5歳児クラスでは、クラスの皆が揃って同じ活動をすることはほとんどありません。主活動は3つのグループに分かれていて、自分の好きな活動を選べます。おやつも食べたい人だけ食べ、昼食も好きなテーブルを選んで食べます。子どもたちが自分のやりたいことを選ぶ機会が多いです。主活動も先生がグループ分けはしますが、グループの担当の先生にグループを変わってもいいか聞いたらグループを変われます。また最近は自分でやりたい主活動を選ぶようになりました。
ただ、朝のサークルタイムでその日の仕事を自分たちで選んだり、主活動を選んだりするときは皆で集まります。

私は10月半ばから”プロジェクト”を始めました。実習生が行うプロジェクトとは、実習生が自分で素材(例えば私の場合は”紙”、他の実習生は音楽や物語、粘土など)を決めて、その素材に関連した活動を週1,2回、7週間に渡り、長期的に行うものです。
第1回目 まずは先生のアドバイスを元に、”紙”という素材に触れ、創造性を高める活動をしました。(先生は”explore the language of paper paper”と言っていました。language of ~はレッジョ・エミリアの保育の考えで使われる言葉で、”素材”のような意味だと思われます。)コピー用紙や色画用紙、トレーシングペーパーなどをジグザグに折ったり丸めたりしたものを用意しておき、子どもたちの反応を見ました。子どもたちはジグザグに興味を持ち、たくさんじゃばらを作りました。子どもたちは"What's the zig zag?"と発問し、"It’s up down up down, like a mountain, kind a like A."と話していました。

第2回目 次に主活動として、10人ぐらいの子どもたちと紙についての認識を深めるために、何に紙が使われているか話し合いました。新聞、地図、ラッピング、紙飛行機など。そして紙が作られる過程を予想した後、木を切っている人の絵を描く子もいれば、お花紙(ティッシュのような柔らかい紙。写真女児が使っている)を巻いたり破ったりのりでくっつけたりして遊ぶ子もいました。

第3回目 もう一度紙が作られる過程とリサイクルされる過程を予想し、教室にあるパソコンのYouTubeで紙が作られる過程とリサイクルされる過程を見ました。その後見たことを話し合い、次回自分たちで紙を作るために教室内のリサイクルボックスから紙を集め、小さく破りました。T君は「緑の紙を作りたいから緑の紙だけ集めよう!」と言い、緑の紙をたくさん破っていました。

第4、5回目 自分たちで紙すきをする方法をYoutubeで見た後、ついに紙を作り始めました。小さく破った紙と水をミキサーで混ぜ、大きな入れ物に流し込み、水を加え、底に網がついた木枠で繊維をすくい、押さえて水分を絞って乾燥させます。
子どもたちは“We made rainbow paper!”や“We stepped on it to make the water disappear!”と言って、とても楽しんでいました。子どもたちは実習が終わるまでの1か月、何度も”Can we make paper today?”と言い、紙作りを続けました。
子どもたちのアイデアで作った紙にラメや葉っぱを足したり、絵の具を混ぜてカラフルな紙を作ったり、ミキサーにかける時間を短くして大きい紙のかけらが残ったまま紙をすいてみたりと、毎回新しいアイデアが出てそれを試すのがとても楽しくて驚きの連続でした。子どもたちは"We are the best paper maker in the city!" ”We'll be rich with paper. We'll sell it for $100.”と自慢げに言っていました^^
←色水でペイント

第6回目 物語のプロジェクトとコラボし、紙に絵を描いたり、紙で工作したりしながら子どもたちにどんなstoryを表現しているのか聞きました。絵を描いていたL君は“Ten years ago I was a man who was making a paper."と物語を教えてくれました。Cちゃんの工作は、最初は紙を作る人の絵を描いていて、次に聞いたときはクラスで流行っている病院ごっこにちなんで病院のベッドと患者さんの絵を描いていると言い、最後にはその紙を折って、お母さんの手紙へと変身していました。一つの作品を作る中で、子どもの中でこんなにも物語が変わっていくということがとても興味深かったです。

第7回目 今度は音楽のプロジェクトとコラボして、音楽を聴きながら工作をしました。この日はばたばたしていてメモも写真もとれず、あまり記録がありません。でもこの他にも音楽と紙のコラボとしては、カップにトウモロコシやお米を入れて紙でふたをしてマラカスを作ったり、紙で封筒を作ってそれもマラカスにしたり、音楽を聴きながら絵をかいたりペインティングをしたりと様々な方法でコラボすることができ、とても勉強になりました。音楽を聴きながらペインティングをする活動を担当した実習生の子は、「明るい音楽をかけると子どもたちは明るい色を使ってペイントをし、暗い音楽をかけると暗い色を選んでペイントしていた」と話していて、4、5歳の子でも音楽の雰囲気から何かを感じ取り、それを表現することができるのだと感じました。

この他にも桃太郎やかぐや姫を英語と日本語で読み聞かせしたり、子どもたちが興味を持った簡単な日本語を教えたり、おにぎりを作ったりと様々な活動を通して日本文化を発信できました。

他のクラスではどうか分かりませんが、私のクラスでは実習生は指導案を書きませんでした。前日までに大まかな活動内容を話し合い、当日子どもが興味あるものに合わせて詳細を決め、材料を用意するという感じで、保育所外での準備などもほとんどありませんでした。保育の準備が大変でない分、子どもたちと余裕を持って関われたり、振り返りに多くの時間を使うことができました。

また、この保育所では保育にパソコンを多く取り入れています。子どもが宇宙に興味を持っていた時はロケットの離陸映像をYoutubeで見たり、ロケットについて調べたり、宇宙に関する歌をYoutubeで聞いて歌って踊ったり、午睡時にリラックスする音楽をかけたりしていました。

最後に私の今後の目標の一つとしては、音読スキルを上げて、読み聞かせをアメリカ人のような発音でできるようにがんばりたいです!
それでは長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

木曜日, 12月 10, 2015

芸術士派遣事業活動報告展が開催されています(松本)

 このBlog でも既に何度か紹介している「芸術士派遣事業」とは、香川県高松市にて2009年より自治体独自の保育支援の事業として開始された取り組みです。事業委託を受けたNPO法人アーキペラゴより、アーティストである芸術士が、基本的には週1回、定期的・継続的に市内保育所・幼稚園等へ派遣され、保育者と協働して実践に従事することを介して、造形や身体表現などの多様な活動が展開されています。
 高松市内40箇所の園所をはじめ、県内各地で展開しているこの芸術士活動についての報告展に、本学幼児教育コースの学生達と出かけてきました。






 芸術士のミッションは、結果を求めないこと、子どもたちのサポーターであること、子どもたちと社会をつなぐこと。
 子どもたちのサポーターであり、同時にそんな子どもたちを支える大人達、保育者や保護者のサポーターとして、私たちの社会が、きっとやってくる未来である“あさって”に一歩を踏み出すために必要な何かを投げかけてくれる。
 この展示会が「作品展」ではなく「活動報告展」であるという点に象徴される、そんな芸術士活動の魅力とヒミツを、実際に足を運ぶことで存分に感じられるのではないかと思います。

 活動報告展は、12月13日までの日程で、高松市立中央図書館にて開催されています。
 時間があるみなさん、よろしければ、ぜひ。
 すぐそばにある香川大学キャンパスの銀杏も、いい感じです!
 
 

水曜日, 12月 02, 2015

From 2006 to 2015(松本)

年明け3月には卒業を迎える(であろう)保育者を目指す4年生に向け、これまでの4年間の総仕上げの一つとして、卒業した後、4月から踏み出す一歩にあたっての心構えについて、まとめて話す機会がありました。
「そんなこと俺にできるわけないぢゃん!」ということで、いつもの得意技で頼りにしたのは教え子のみんな。

1)保育者・教員(社会人)としてこの○年間働いて、いちばん楽しかった/印象にのこったエピソード
2)保育者・教員(社会人として)としてこの○年間働いて、しんどかったエピソード
3)楽しさ―しんどさの比を%で表すと (例:楽しさ60%-しんどさ40%)

の3つの質問を投げかけたところ、保育所・幼稚園で働くみんなから、小学校や特別支援学校で働くみんなまで、思った以上にたくさん返事をもらえて、おかげで無事、授業を終えることができました。とても嬉しかったです。ありがとう!!

この1)〜3)の質問項目、どこかで聞いたことがある!と思ったみんな。
実はこれ、2006年。名古屋短大での卒業生セミナーの際に、同じように教え子のみんなに向け、投げかけた項目でもあります。
そう、しばらく前に、当時の資料を入れたファイルを改めて手に取る機会がありました。
その折にみんなからもらったメッセージは、埋もれさせておくにはあまりに勿体ない中身で……。
どこかでぜひ、再び日の目を!と考えていたので、よい機会が得られたことに感謝している次第です。

「楽しさーしんどさを100分率でたとえて!」という依頼にもかかわらず、「楽しさ99としんどさ130!」とか問いの中身と算数を無視した答えが返ってきたり等々、
さすが俺の教え子たち!ともいえる!?、時を超えた共通点はいくつかあるのですが、
なかでも特に印象に残った一つは、
「楽しさ10%ーしんどさ90% でも、楽しさ10%が私に与えてくれる力は大きいです!」という感じのメッセージが、9年前も今も、複数あったこと。
そんな思いを抱きつつも保育現場で奮闘しているみんながいることに、なんというか頭が下がると同時に、そんなみんなから喜びや元気をもらい、その生活を支えられている子どもや大人達が、見えないところにもたくさんいるよ!ということが、何かのかたちで伝わるといいなと思いました。

派手な何かはなくとも、あなたに支えられた誰かがいて、その喜びをシェアする機会がある仕事。
平和で豊かな未来は、そんなみんなのちょっとずつからつくられるはず。

うまいこと書けないけれど、また、機会をつくって、フィードバックしますね!
ありがとう〜。体に気をつけて、やるのだよ!