日曜日, 12月 30, 2012

言葉はプレゼント(松本)

 「師走」と言われるとおり走りっぱなしの12月を経て、気づけばようやく年末の休み、というみなさんも多いかもしれませんね。そんな間に取り組んでいたシゴトの一つに、3歳児の保護者向け冊子作りがありました。
  香川県教育委員会から委嘱されたもので、作成委員会の長という立場上、メインで原稿をごりごり書きながら、委員のみなさんからの原稿と合わせて、冊子全体を一つのストーリーに織り上げていくのが主な役割です。

 この種の冊子、いろいろな意味で難しいなと思います。
 よくある「マナーを守りましょう!」「がんばりましょう」的な冊子。あれを読んで「よし!守らなきゃ」「がんばるぞ!」というヒトが、どれくらいいるのでしょうか。(配布されたとして、そもそも手に取るのかどうか……)

 ポイントは、その言葉を誰に届けるのかが想像できているか、ではないでしょうか。
 よく街中に掲げられている「あいさつ運動」のノボリは、誰に届けるために立てられているのか? 冊子もおそらく同じで、そこで伝えたい言葉は、誰に届けたいと思って書かれたものなのか。それによって表現も、そして届け方も、変わっていくものでしょう。

 言葉はプレゼント。
 大切なプレゼントだからこそ、自分の贈りたいモノを押しつけるのではなく、相手に喜んで受け取ってもらえるタイミングと方法で。
 正直、この種の冊子に懐疑的だからこそ、できる何かがあるかもしれない、と思って引き受けた今回のチャレンジ。素敵なプレゼントが、気持ちよく届くよう、委員や事務局のみなさんと一緒にできる限りの努力をしているつもりですが、それが実るかは、贈り物が完成し、届いた後の評価に委ねるしかないな、と思っています。

 冊子は2月〜3月に完成予定です。完成したら、また報告しますね。

月曜日, 12月 24, 2012

気づきと時間(松本)

 研究上のインスピレーションを得た話です。
 仕事ではなくプライベートで、家族そして大切な友人たちと、直島『家プロジェクト』を観に出かけてきました。
 なかでも印象深かったのは、南寺(James Turrell作)です。

 通されるのは、すぐ隣の人さえ手で触れねばわからないほどの闇の中。
 指示されたとおりに黙って座り、ただひたすらじっと前を見つめていると、闇の中に徐々に光が浮かび上がってきます。
 その間、5〜10分ほど(だそうです)。

 でも、実はその光は、部屋に入ったときからほのかに照らされていたものであった、とのこと。
 気づかなかったのは、こちらの眼が慣れていなかったからで、時間をかけて暗闇に視線が適応していくと、徐々にそれに気づけるようになっていったという仕掛けのようでした。
 人間とは、よくできたものですね。

 はじめから変わらず目の前にあったはずのそれに、全く気づけなかったり。
 すぐには全く見えないけれど、一定の時間を経た後に必ず、見えてくるものがあったり。

 作品という媒体を通じて、モノの見え方とヒトのありようが結びつく実感が、とても刺激的でした。

 ちなみに2歳/4歳/6歳の子たちも、それぞれのスタンスで、暗闇の世界そして作品を静かに味わっていましたよ。誰もに拓かれた体験を、みなさんもよければぜひ!

水曜日, 12月 19, 2012

たかまつ地域のみんなで子育て新聞vol.6が発行されました(常田)

今年も残すところわずかになってまいりました。
街の中はすっかりクリスマス&年末ムード一色ですが、今年中にあれこれの仕事を終わらせなくちゃ〜と焦っている方々も多いのでは。

そんな慌ただしい中ですが、先日「たかまつ地域のみんなで子育て新聞vol.6」が発行されました。もうお手元に届いている方もいらっしゃいますね。
新聞でも年末年始に関連した記事がたくさん載っていますよ。

香川県を代表するあん餅雑煮。
実はまだ食べたことないんです。
今年こそ挑戦したいな!と思っています。












「たかまつ地域のみんなで子育て新聞」は、高松市内の保育所、幼稚園、小学校、中学校で配布される他、お近くのコミュニティセンターでも手に入れることができます。
みなさんぜひご覧になってくださいね。

木曜日, 12月 13, 2012

先の予想を上回ることこそ、保育の魅力(松本・松井)

 冬らしく風の冷たい毎日が続きますね。
 さて、11月の終わりから12月の頭にかけて、松本・松井の連名で、次の論文をまとめました。

・松本博雄・松井剛太 2013 保育における子どもの「学び」を記述するために―「第一の学び」と「第二の学び」に着目して― 香川大学教育学部研究報告第1部, 139, 印刷中

 小学校以降と異なる、保育ならではの「学び」の捕捉と記述の方法、その成立を担保するために必要な条件の検討を目的としました。国際機関であるOECDによる国際比較調査によれば、ECEC(Early Childhood Education and Care: つまり保育)における「学び」の示し方の方向性は、いわゆる教科教育型の指標から保育を通じて学んだことを捉えようとする「就学準備」型と、そうではなく、幼児期を広い意味での人生の準備段階と捉え、そこで学ぶことを捉えようとする「ソーシャルペタゴジ―」型の2つに分けることができます。
 ここで、保育ならではの「学び」を捉える可能性をもつのは後者です。それを具体的に位置づけるためには、事前に予想・計画された「第一の学び」に加え、事前の予想を超える子どもの姿である「第二の学び」の記述がポイントになっていくことを、2つの事例を引用しながら示しました。
 個人的には、『現代と保育』(ひとなる書房)83号に掲載させていただいた連載『保育を通じて子ども達は何を「学ぶ」か』の延長戦のような感じでまとめたつもりです。
 ちなみに事例は、『現代と保育』同号に掲載の、熊本・やまなみこども園のものと、香川県三豊市立下高瀬幼稚園のものを掲載させていただいています。(拙稿はともかく)どちらも大変魅力的な保育実践例で、保育の魅力と面白さが伝わると思います。

 3月には刊行される予定です。学術論文ということで、大学図書館経由では手に入ると思いますが、一般には手に入りにくいと思います。
 興味をもっていただける方がおりましたら、松本・松井宛メール、コメント等で連絡いただければ、刊行後にお送りいたします。

日曜日, 12月 02, 2012

第44回全国保育団体合同研究集会報告集が出ました(松本)

 12月になりましたね。早いですね。
 少し前になりますが、この夏に兵庫県で開催された、第44回全国保育団体合同研究集会の報告集が、雑誌『ちいさいなかま』(ちいさいなかま社)の増刊号として出ています。
 内容はここです(クリックすると開きます)

 
 1ページの短い記事ですが、松本は1歳児の保育A分科会のまとめを執筆しました。
 11/22の当ブログ『一歳児の「自分で思って、自分で決める」をどう育むか』にあります、山形・とちの実保育園1歳児クラスの素敵な保育実践と出会えたのは、この分科会です。
 雑誌『ちいさいなかま』は私も定期購読していますが、単なる「保育のスキル」ではなく、いろいろな立場の方からの短めの投稿や記事でまとめられているので、読みやすいです。保護者や、職場の同僚と楽しくやっていく上でのヒントにもなりますよ!
 私は特に、精神科医の和田浩さんの連載が好きで、よく目を通しています。

 このブログは、私たちの行った仕事の報告が主ですが、こんな感じで私たちおすすめの本や雑誌も、少しずつ紹介していければと思っています。