この実践は、友達との関わりが少なく言葉が出ることも少なく戸惑う姿が見られるAくんと、そのAくんの姿に気付きながらも接し方が分からず戸惑う姿が見られるクラスの子について、相手の姿を認め、考え、友達への思いへつなげていってほしいというねらいのもとに行われました。
保育者が、Aくんの様子についてお母さんや職員会議で共有したり、Aくんが遊びの中心となる声掛けやじっくりと話し合う機会を設けたりしたことで、Aくんからは友達とつながりたいという思いが見られるようになりました。
討議は、「子どもが個から集団へ目を向けるきっかけとなる声掛けや場の設定として、具体的にどのような手立てが考えられるか」を論点として行いました。討議の中で、Aくんを集団に入れるのではなく、クラスの子からAくんに関わりをもつような場を設定することや、子どもの言葉を待つことが重要だという意見が多く出ました。
集団生活の場では、集団になじめない子に対してどのように集団に入れていくかを考えることが多いように思います。しかし、無理に集団に入れようとするのではなく、周りに働きかけて、その子が遊びの中心となるような環境作りを行っていくことで、自分も集団の一員になれたという安心感が生まれるのだと感じました。このような手立てを行うためには、保育者がその子の想いを理解していることが必要不可欠だと考えます。子どもの本当の想いは何なのかを知るためにも、一度「個」に戻って子どもの話をしっかりと聞き、受け止めていくことが大切だと学びました。保育者が「個」を大切にする姿を見せることで、子どもたちも友達を認めることができる温かい「集団」になっていくのではないかと思います。
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