月曜日, 4月 30, 2018

大学にて(松本)

Canterburyに引っ越してきて、はや1ヶ月。
大学での活動が本格的に始まって、2週間が経ちました。
最初の1週間では、職場環境を整えながら、いろいろな人に会ったり、会議に出たり。
2週目はちょこちょこ人に会ったりする合間に、日本の仕事の〆切がまとめて来たり、子どもたちの学校の準備や手続きをしたりで今に至ります。

今の所属はResearch Centre for Children, Families and Communitiesという研究所なので、数人の大学院生をのぞいて基本的に学生はいません。考えてみれば、仕事を始めて17年目で研究所に所属するのは初めて。イギリスの大学で会議に出たりするのももちろん初めて!
あれこれ新鮮すぎる中で、印象に残ったことは多々あるのですが、この間で特によい経験になったのは、出会った中の一人の先生とのご縁で、教育学部のPost Graduate(制度上は大学院ですが、基本的には4年生)の授業に飛び入りする機会を得たことです。

30人ほどの学生が履修しているその授業では、それぞれがこれから実践現場で行う研究計画をまとめながら、倫理上の配慮点について書く、という課題が出ていました。なぜだか流れ上、ちょこちょこ論文指導っぽく脇からコメントしつつ見せてもらった彼女たちの研究計画は……

・図書館を介した読み聞かせ(Book sharing)への働きかけとと親子のやりとりの質の変化
・わらべ歌(Nursery rhymes)とSocial relationshipsの発達
・保育園内のコーナーを活用した、自分の気持ちに関する表現力を豊かにする取り組み
・ままごと遊びと社会性の発達

等々、日本の4年生たちが考えるものと、思った以上に興味関心も枠組みもわりによく似ている!というのがなかなか新鮮でした。

こちらの大学のシステムは、日本とはかなり異なります。
教育学部の場合、Undergraduate(学部生)は、いわゆる高校からまっすぐ上がってくるコースと、保育現場などで社会人経験を積んだ後に入るコースに分かれていて、Foundation Degreeという基礎課程が2年(年数を考えると短大相当?)、その後にBachelorという学士課程が1年、その上にPost Graduateとなっているようです。
現場で気づいたことを、自分の課題意識に合わせたコースでの学びや研究課題として深め、キャリアアップして再び現場に戻っていける制度はなかなか魅力的です。日本で自分がしてきた仕事を振り返ると、保育者研修や現場での実践研究がそれに相当するのでしょうが、職場を離れずに学ぶことと、大学等で一度職場から離れて学び合うことでは、深められる程度と蓄積の度合いが変わってくるように感じました。日本でこれまで一緒に学んできたみなさんと、こんな機会が持てたらきっと面白いと思います!

また、担当の教員は、これらそれぞれの課程で分かれているようです。日本で大学1年から修士まで授業をもっている身からすると、これまた別の意味で新鮮でした。
とはいえイギリスは、たとえば就学前施設や小学校でも、施設・学校毎に雰囲気や教育内容、学び方にかなり幅があります。大学でも同じように、大学毎にいろいろシステムは異なるのかもしれません。

違う環境に出かけているので異なる点が多いのは当たり前なのですが、この二週間で意外にも、共通する点や課題がたくさん見つけられたことは大きな収穫でした。
帰ってからのことを考えるのはまだ早い!ですが、こちらの大学の同僚も、研究のこと、学生のこと、大学運営のこと等、同じようなことに悩み、頑張っている……と考えると、帰ってからもなんだか少し元気が出そうです。



0 件のコメント:

コメントを投稿