月曜日, 2月 26, 2018

二四人全員が出ないと光組のリレーにならない!(稲葉絵梨香)

 失礼します。小学校コース特別支援教育領域3年の稲葉絵梨香です。今回は保育内容の指導法(人間関係)の授業で、「二四人全員が出ないと光組のリレーにならない!」(京都:白い鳩保育園 ちいさいなかま〈全国保育団体連絡会/ちいさいなかま社〉540号,2010)という実践について討議し、考えたことを書きます。

 Aくんは自閉症スペクトラムで、皆より足が遅く、クラスの子は「リレーで負けるのはAくんがチームにいるから」だと思っていました。保育者は「対等の条件で遊ぶからこそおもしろい」ということを徹底しており、この時も「リレーでいっしょの力になる方法を考えよう」と皆に提案しました。保育者もどの方法がいいのか揺れながら子どもたちと一緒に意見を出し合いました。そして、皆で決めた「Aくんが1番手でスタート地点を半周先にする方法」でリレーに取り組んでいくことができました。
 数年後、小2になったAくんがリレーで走ることになります。走り切ったものの相手チームとかなり差が離れてしまいます。しかし、光組だったBくんが対等な力になるようにゴール地点でゴールをせずにもう1周走りました。ここから保育者の思いが伝わっていたことが分かります。

 この実践から「勝ち負けのあるものではできない子が責められることがある。皆が納得して活動を楽しめるようにするためにはどのような手立てができるか」について議論をしました。

 議論では、話し合うことで受け身にならず、不満が出にくいこと、保育者も子どもたちと同じ立場で意見を出し合うこと、皆で支えていけるような雰囲気づくりを普段から行うことの大切さ、説明するときに視覚的支援を行うことでどういうことが言いたいのか分かりやすくなり、納得しやすいことが分かりました。

 この中で、皆で支えていけるような雰囲気づくりを普段から行うことの大切さについて述べたいと思います。Aくんのハンデを考えた時、「Aくんだけずるい」という意見が出ることが予想されます。しかし、光組では皆が納得してリレーに取り組んでいました。光組の保育者は普段から「対等の条件で遊ぶからこそおもしろい」「競ることがおもしろい」ということを徹底して保育を行っていました。このことが子ども達がずるいと感じず、おもしろくするための手段だと捉えることにつながったのだと考えます。
 また、私は事例を読んだときに「スタート地点を半周先にすると目に見えてハンデが与えられていることが分かって、Aくんのプライドが傷つかないだろうか。」と思うところがありました。しかし、今までの授業を通して弱い自分を受け入れられる雰囲気づくりが大切だと学びました。この実践でもそのことが言えると思います。弱さを認められないと自分に対しても友達に対しても責めてしまうと思います。苦手な部分を皆で支え合っていくような雰囲気を保育者がつくっていくことが大切だと思いました。また、Aくんに対して必要なのは成功体験だと考えます。負けばかりを経験していくと自信がなくなり、楽しくもありません。いつも負けるのではなく自分の仲間と同じ力で勝負をして時に負け、時に勝つことで自尊感情が高まるのだと思いました。

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